コラム

適応障害で休職したときの過ごし方|休職中、どのように療養したらいい?

適応障害とは

適応障害とは、ライフスタイルの変化や環境からのストレスによって、生活に影響が出るほどの心身の症状がみられる状態のことです。
うつ病と違い、ストレス要因をはっきりと判断できるのが適応障害の特徴です。
そのため、ストレス要因から離れることで症状の回復が期待できますが、治療や対処なく放置していると症状が重くなり、長期に苦痛を感じる場合もあります。
再発率も高く、厚生労働省の調査では1年後の再発率は50%を超えるとも発表されています。

適応障害での休職期間

1人1人症状の程度、置かれている環境が異なるので、一概に休職期間は〇ヶ月ということはできません。
診断書には1ヶ月~3ヶ月のどれかの期間で、書かれる場合が多いようです。
そして、経過をみながら休職期間の延長、復職の時期を判断していくことになります。
回復の程度のほかに、会社に定められている休職できる期間によって、休職期間は変わるでしょう。
実際には半年、1年、休職する人もいますし、2か月で会社に戻られる人もいます。

休職期間の過ごし方

休職期間の過ごし方が、復職に与える影響は大きいです。


休職に入ったばかりの回復期、体調が整いはじめ復職に向けた準備をすすめる復職準備期に分けて過ごし方を説明します。

回復期

まずは身体を休める

休職し始めは心身ともに疲弊しきっている時期です。
何よりも身体を休めることが最優先です!
定期的に通院する、しっかり栄養、睡眠をとる、など休むために必要なことに集中します。

そして、ストレス要因から積極的に離れます。
仕事のことはなるべく考えなくてもよい環境を作ります。

引継ぎが終わった後、会社とは必要なやりとりだけをしましょう。

少しずつ活動量を増やす

休息を確保できたら、少しずつ活動できるようになってきます!
次は活動しながら体力を回復させるリハビリする期間です。
以下のようなことを意識して過ごせるとよいでしょう。
例えば、、、

  • 朝、決まった時間に起きて、生活リズムを整える。
  • 散歩や軽い運動をする
  • 料理、掃除など家事をする
  • 趣味や楽しい活動をする
  • 近場、短い時間から外出してみる…etc

めんどうだな、しんどいなと思うものより、まずは楽しそうだなと思う活動からはじめて活力を回復させます。
しかし、好きなことができている段階でとどまってしまうと回復が遅れてしまいます。
好きなことができるようになってきたら、めんどうだなと思うようなこと、やらなくていはいけないことにもチャレンジします。
そうすることで、十分な体力が戻ってきます。

復職準備期

心身が回復したら、人との交流を増やし社会生活を送りながら復職への準備に入ります。

社会活動を増やす

成人の社会活動といえば、主なのは仕事です。
例えば、通勤時刻に電車にのるなど、通勤の練習。
ほかには、日中は図書館に出かけ資格の勉強をして夕方に帰宅するなど、仕事を想定した生活スケジュールで活動してみるのも有効です。
余暇時間には、1人で過ごさず友人や家族と会って、人との交流にも慣れていきます。
仕事をしていたときに近い、1週間のリズムを想定して整えていきましょう。

再発防止策を考え、復職準備を進める

休職を休職前より新しい自分へ成長するためのきっかけとして捉えることで、前向きに復職へ歩めます。
再発防止策を考え、休職前とは違った働き方ができるような準備を整えます。
それは新しい考え方、気分転換の方法、コミュニケーションの取り方、かもしれません。
同じようなストレス状況に陥っても、また適応障害とならない自信をつけてから復帰するのが望ましいです。

リワークの利用も検討しよう

復職準備期から、リワーク施設の利用を検討してもよいでしょう。
1人で復職に向けた準備をすすめるのは、たいへんです。
加えて、いきなり職場に戻るのは不安も大きいかと思います。

リワーク施設は、メンタル不調で休職している方々が定期的に通所するリハビリ施設です。
職場に復帰する前に実際的なトレーニングを受けられます。
また、適度な対人交流をはかれ、様々なプログラムを通じて再発予防に重要な知識、スキルを学ぶことができます。
適応障害は再発率が高いです。
焦って職場復帰して、再休職にならぬようしっかり準備をするのにリワークが役立つでしょう!

リワークに通われたみなさんはこんな風に過ごしています↓
リワークで学んだことがどのように復職後も役に立ったのか、休職を経験した当事者が自分の言葉で語っています。

復職体験記
ベスリのリワークを利用して復職された方へのインタビューです。

復職のタイミング

復職の判断は回復のレベルと再発防止の準備ができているか

回復の程度がそれぞれであるように、復職のタイミングも人それぞれです。
通勤練習をしてみても症状が出ない、再発しないための準備が整っている、このようなタイミングで主治医に復職について相談してみるとよいでしょう。

休職中にストレス耐性を身につけたとしても、休んでいるときと仕事をしているときのストレス状況とは異なります。
復職が近づくと誰もが不安になりますが、復職してからも取り組む課題も整理しておくと、落ち着いて過ごしやすくなります。

必ずしも希望しているタイミングで復職できるわけではない

自分の準備が整ったタイミングで、復職できるという人ばかりではないと思います。
経済的な理由、会社の規則、残された休職できる期間、様々な理由によって十分に準備が整っていない状態で復職へ動き出さないといけない人もいるでしょう。
そのような場合でも、あなたの事情を主治医、職場などに話し、あなた1人で抱え込まないようにしてください。
周囲の人を頼り、休職期間をのばせないか、経済的支援を受けられないか、など検討することも可能です。
どうしても準備がととのわず復職しないといけないなら、働きながら治療を継続し、自分自身でもストレス対処法を学び実践し、免疫力を養っていきましょう。

ただし、無理は禁物です。仕事よりもあなたの健康を優先して、重症化、再発する前に周囲と協力しながら対策を取るようにしましょう。

執筆者 星野 文弥

臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。