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コラム

うつ病で休職中の方にとって、効果のあるリワークを見極める3つのポイント!

ベスリのリワーク、休職

この記事は、うつ病と診断されて、現在仕事を休んでおり、「リワークに通おうか悩んでいる」「どのリワークが自分に合っているかわからない」という方に読んでほしい記事です。
うつ病で休んでいる方にとって、役立つリワークに関する情報をまとめています。

公認心理師/臨床心理士の資格を持ち、現在もリワークに勤務している私が、うつ病で休職中の方にとっての「リワークの重要性」「リワークを選ぶときのおすすめしたい検討ポイント」を紹介します。

まず、リワークとはどんな施設?

うつ病や適応障害などメンタルヘルスの不調で休職している方、あるいは退職した方が職場復帰を目指すために利用するのが「リワーク」です。
精神科や心療内科といった医療機関、就労をサポートする福祉施設の中には、復職に向けた準備を整えるためのリワークプログラムを提供しているところがあります。

リワークに毎週定期的に通所することで、生活リズムを整えたり通勤訓練を行うほか、健康に働くためのストレス対処法を身に着けていきます。
ただし、すべての施設が同じリワークプログラムを運営しておらず、施設によって特色が異なります。
そのため、自分自身の課題やニーズに合ったサポートを得られる施設を選ぶ必要があります。。

うつ病からの復職にはリワークが必要?

うつ病で休職した社員のうち再休職にいたる割合ををご存じでしょうか?
平成28年度のデータなので、少々古いデータになりますがこちらの研究報告書によると、うつ病休職した社員のうち42%の人が再休職すると報告されています。(参考元:平成二十八年度労災疾病臨床研究事業費補助金「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」)

うつ病は再発率の高い精神疾患であり、そのため再休職にいたるリスクも高いのです。
統計データからも、再発しないための努力なしでは、なかなか再発・再休職を防ぐのは難しいと言えます。
リワークでは、自身の発症経緯の理解を助けくれて、再発予防の対策を一緒に考えてくれます。

必ずしもすべての人にリワークが必要とは言えませんし、休職できる期間によって利用の厳しい人がいるかもしれません。
しかし、うつ病と診断されており、少なくとも時間の猶予がある方は、いきなり職場復帰するよりも、リワークで準備を整えてから復職することを検討してみてはいかだでしょうか。

うつ病で休職中の方にとって、効果のあるリワークを見極める3つのポイント

リワーク施設をインターネットで検索してみたらいくつか候補が見つかるかと思います。
どこの施設でも同じように運営されているわけではありません。それぞれ施設の特色があり、うつ病の再発予防にも役立つプログラムや体制を用意しているところもあります。
うつ病で休まれている方が自分に合ったリワーク施設を選ぶためには、以下の3つのポイントをチェックすることをおすすめします。

  1. うつ病の再発予防に期待できるリワークプログラムを用意している
  2. メンタルヘルスの専門家がいる
  3. 再発予防の計画を立てられる

それでは以下に、1つずつ、詳しく解説していきます。

1.うつ病の再発予防に期待できるリワークプログラムを用意している

下に紹介しているのは、うつ病に効果が実証されている心理療法の呼び名です。
これらの心理療法をリワークプログラムに取り入れ、集団もしくは個人向けに実施している施設もあります。
いくつか例を紹介します。

認知行動療法

認知行動療法は、思考と行動のパターンに注目し、心の不調を改善する心理療法です。
思考や行動を変えていくための様々な技法が開発されており、それらを総称して認知行動療法と呼んでいます。

認知行動療法では、物事の「考え方」が感情や行動に影響を与えると考えます。
たとえば、「失敗した=自分はダメだ」といった極端な思考が、落ち込みや不安を引き起こす原因になることがあります。
こうした自分自身の「考え方」のクセに気づき、「失敗した=誰にでも失敗することはある」のように、より現実的で柔軟な考え方に修正する練習を行います。

また、うつ病になると活動の量も範囲も減ることで、ポジティブな体験をする機会を失い、うつ症状を長引かせているケースもあります。
そこで、達成感を感じる行動や避けがちな行動に計画的に取り組む「行動活性化」といった技法も取り入れ、行動面からアプローチすることもあります。

認知行動療法は短期間で効果を実感しやすいうえに、復職後も自分で続けられるスキルとして身につきます。

マインドフルネス

マインドフルネスも、認知行動療法と同様にうつ病の症状軽減や再発予防に効果があるとされる心理的アプローチです。

うつ病の方に特徴的に見られるものの1つに、反すうがあります。
反すうとは、繰り返し繰り返し考えをめぐらすことをいいます。いわゆる、ぐるぐる思考です。
反すうをやめられず、ずっと続けているとうつ病は悪化すると言われています。

マインドフルネスを実践をすると、反すうを止めることができるようになります。

具体的には、 呼吸や身体感覚に注意を向け「今この瞬間」に集中する練習をします。
注意が思考にそれたら、また、「今この瞬間」に存在している呼吸や身体感覚に注意を戻す。
ひたすらこの練習を繰り返すことによって、集中したいことに集中する力が身につき、反すうに巻き込まれなくなります。

マインドフルネスの実践には根気がいります。
ある程度の期間、継続して取り組まないとなかなか効果を実感しにくいです。
リワークには一定期間継続して通所しますし、一緒に取り組んで励まし合える仲間にも出会えます。
マインドフルネスに取り組むには、良い環境がそろっていると思います。

疾病教育(心理教育)

自分の病気について正しく理解し、再発予防や回復を促すための知識やスキルを学ぶことを、疾病教育または心理教育と言います。
リワークでは講義形式やグループワークなど、さまざまな形で実施されます。

うつ病の疾病教育の主な内容には、うつ病の症状や原因、治療法、薬の効果、副作用、ストレスとの付き合い方などが含まれます。
この教育を通じて、「病気を自分自身で自分で管理する力」を高めることができます。

リワーク中に疾病教育を受けることで、復職前に客観的で有効な予防策を考えられるようになります。

2.メンタルヘルスの専門家がいる

うつ病に対して理解のあるメンタルヘルスの専門家が常駐しているかは、うつ病で休職している方にとっては重要なリワーク選びのポイントの1つです。
メンタルヘルスの専門家には精神科医、臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士といった職種が挙げられます。
メンタルヘルスの専門家の方が安心して病気のことも相談しやすいでしょうし、状態に合わせたサポートが期待できます。
また、認知行動療法など心理療法的なプログラムにも説得力が増します。

もし気になっているリワークがあって、メンタルヘルスの専門家がいるかわからなければ、「どのような資格を持つスタッフがいますか?」と問い合わせてみることをおすすめします。

3.再発予防の計画を立てられる

リワークの目的は「復職すること」だけでなく、「復職後も安定して働き続けること」です。
そのためには、再発を防ぐための具体的な計画を立てることが重要です。

たとえば、ストレスを感じたときの対処法や、職場での相談先、生活リズムの維持方法などを一緒に考えてくれる施設を選びましょう。

情報を整理してから見学や体験に行く

リワーク施設を選ぶ際には、事前に情報を整理してから見学や体験に行くのがおすすめです。
このリワーク選びの3つのポイントについて、まずはホームページをチェックして整理してみると、自身に合ったリワーク施設の候補を決められるかもしれません。
ほかにも自分が何に不安を感じているのか、どんな支援を求めているのかを明確にしておくことで、施設との相性を見極めやすくなります。

見学・体験前には、確認したいことや質問したいことのメモを用意しておくとよいでしょう。
例えば、うつ病の再発予防に役立てられるか次のような質問をして確認してみましょう。
「うつ病の再発予防に役立つプログラムはどんなものがありますか?」
「うつ病などメンタルヘルスに専門的に詳しいスタッフはいますか?」
「うつ病の再発予防のためにどのような取り組みがありますか?」


ほかにも、見学・体験に行ったら、プログラムの内容やスタッフの雰囲気、他の利用者の様子などチェックしましょう。
不安な点はそのままにせず施設のスタッフに質問し、安心して通所できる環境かどうか見極めてほしいと思います。

執筆者 星野 文弥

臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。