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復職体験記

【復職体験記】人間を壊すのも人間だが、治すのも人間だと感じたリワーク

職場の人間関係に行き詰まり休職、ベスリのリワークを約3カ月間利用して復職されたTさんの体験記です。

復職体験記

気乗りしないまま参加したリワーク

リワークを知ったのは、主治医からの紹介です。
今振り返ると大変申し訳ないのですが、当時はだいぶ体調は安定してきたものの、今すぐに復職できるほどでもないし、休職を続けるためには主治医の指示に従ってリワークへ行かざるをえないんだろうなという、全く気乗りしないまま説明会にお伺いしました。
説明会では、その場で通所のための役所の手続きを手伝ってくださったので、行かざるを得ない状況になっていた、というのが正直なところです。

リワークは復職後を想定した最適なトレーニングだった

通所を始めたばかりの頃は、休職中の体力の低下に驚きました。
休職前は、早朝・深夜でも平気で働いていたはずなのに、朝9:30~15:30という限られた時間に通所するだけで、21時台には布団に入る生活が2か月ほど続きました。
社会生活に戻るための体力作りという観点で、復職前の通所経験は非常に重要でした。

再発防止策の作成も苦戦しました。
休職に至るまでの事実と感情の切り分け、休職原因の分析、分析をふまえた再発防止策の作成と3回作成するのですが、その度に、資料作成のプロセスを通じて、「もっとスマートに資料が作りたいのにできていない」「休職前も同じような場面があった」「これでは上司に怒られる」と、休職前の思考を繰り返していたことが苦しかったです。
3回の資料作成・発表を通じて、完璧にこれまでの思考を変えられたわけではありませんでしたが、日々のプログラムやスタッフ、参加者の方との対話を通じて、少しずつ取り組み方やスタンスを変えられるように試行錯誤できたことは、復職後の仕事の取り組み方を変えていくうえで大変役立つ経験でした。

リワークに通所して良かったと断言できる

はじめは全く乗り気ではなかったリワークでしたが、多くの人との出会いがあり、充実した時間を過ごすことができました。

まず、休職中の仲間と出会えたこと。
休職する人は、真面目で優しい方が多いと思います。そのため、リワーク初日は久々の集団生活に緊張していましたが、新人を気にかけて話しかけてくださる方も多く、安心して慣れていくことができました。また、年齢や所属組織、役職は違っても全員が「休職中」という同じ境遇にいるため、お互いにそれぞれの課題について率直に意見を交わしたり、他者から見た自分について意見を求めたりすることができました。自分も相手も「復職」という共通のゴールを持って真剣に取り組んでいるからこそ、痛い点を突かれても相手の意見を素直に受け止めて、自分の振り返りにつなげられた点が良かったです。

また、様々な専門分野を持つ講師陣の方々との関わりも、これまでの振り返りや今後の生き方を考えるうえで、非常に役立ちました。どの講師の方も(画面越しにお会いする大阪の方でさえも)、参加者1人1人をしっかり見てくださっていることが伝わってきて、「この人が言うなら…」とアドバイスを素直に受け止めることができました。

実は、今ではライフワークの1つになっている「ランニング」をしっかり習慣づけることができたのも、リワーク講師陣のおかげです。
リワークの様々な講義を通じて、運動が脳や身体に与えるポジティブな影響を学んだり、陸上のコーチ資格を持つビジネストレーナーの先生から練習方法を教わったりしたことで、休職前は運動習慣のなかった自分を変えることができました。
ランニングの習慣は、復職後もリフレッシュの時間として役立っています。

復職後は、リワークで学んだ内容を活かして、仕事だけでなく自分も大切にする働き方に変えられたほか、休職前の自分と同じような悩みを持つ同僚へアドバイスもできるようになりました。今振り返ると、リワークに通所して本当に良かったと断言できます。

復職して

業務量に不安があったため、等級を下げて復職しました。
リワーク通所中に身につけた仕事への取り組み方を意識・実践しながら働いており、復職して半年が経過した今、特に業務上の大きな問題などは起こっていません。
自分としても人並みに業務をこなせているのではないかと感じていますが、それでも無自覚のうちに緊張しているのか、復職後3~4か月後には突発性難聴を繰り返す時期もありました。耳が聞こえなくなったり、緊張を感じたりするたびに、リワーク通所中に作成した再発防止策やプログラムの内容を見返して実践しています。

仕事机や冷蔵庫の前にも、通所中に作成した対策リストを貼っており、焦っているときほど読み返して、自分で状況を立て直すヒントをもらっています。

人間を壊すのも人間だが、治すのも人間

リワークへ通ったからと言って、人生観が180度変わるわけでもないし、そこまで深い内省ができたとは思いません。ただ、今まで90度しかなかった視界が120度くらいにはなったかなという実感があります。

また、リワークへの通所を通して「人間を壊すのも人間だが、治すのも人間」ということを感じました。リワークでは多くの専門職の方や様々なバックグラウンドを持つ参加者の方が、様々な視点から関わってくださるため、対人恐怖に陥っている人ほど、また人を信頼するきっかけになるのではないかと思います。

リワークを卒業しても、自己との対話は続きます。
その手がかりを掴む第一歩として、よいのではないでしょうか。