社員は自分の健康を維持、向上する自己保健義務を負っていますので、業務遂行に支障のない健康状態で仕事をする必要があります。
復職後に変化する、業務の質と量
復職できたということは、あなた自身が健康状態に問題が無く元通り働ける状態になったことを証明し、企業からも同様に判断されたということです。
一方、多くの企業ではあなたに早く元通りの健康を取り戻して活躍して欲しいとの期待から、休職から復職した直後には業務の質や業務の量などに対する配慮をしてくれることが多いと思われます。
しかしながら、その配慮はいつまでも続くものではなくやがて業務の質も量も元のレベルに戻っていくこととなります。
健康上の問題はクリアできているからといって、休職以前と同じ働き方をすれば、また同じように発症してしまうことになります。
復職前にリワークに取り組んだ方はリワークで学んだことを思い返し、対策を実践すると良いでしょう。
業務が増えてきたときの工夫
休んでいた心苦しさや自責の念から無理をしてしまうケースが多く見受けられますが、無理を継続することや嫌な人間関係を放置しておくことは再発の可能性を高めます。
以下の工夫をして、復職後に業務が増えてきた場面に対応しましょう。
1.規則正しい生活習慣を維持する。
生活リズム、睡眠リズム、食事を規則正しくとるようにしましょう。
2.ものの見方や考え方を身につける。
完璧主義やネガティブ思考に陥らないよう、柔軟な思考パターンを身につけましょう。
3.働き方を変えてみる。
職場ストレスを避けるため残業や休日出勤を避けることや、職場の人間関係に問題がある場合には配置転換など上司に相談してみましょう。
4.上司や同僚との良い人間関係/コミュニケーション
ご自身の意見をはっきりと伝えることが大切です。上司や同僚に気軽に相談することにより、環境への対応がしやすくなります。
どうしても難しい場合には、適度な距離感をとるようにしましょう。
5.再発のサインを見逃さない。サインに気づいたら上司や産業医や主治医等に相談しましょう。
・身体面のサイン
頭痛、腰痛、疲れやすい、食欲不振、風邪をひきやすい。よく眠れない。夜中や早朝に目が覚めてしまう。等々
・精神面のサイン
イライラしやすい。落ち込みやすい。憂鬱な気分が続く。等々
復職後は再発しないための行動を意識する
最初は意識していないと、再発しないために気をつけてしようと思っていた行動をなかなか取れないものです。
仕事が増えてきた時こそ、目の前のことに追われて自分のケアを忘れがちになるものです。
そのときは、焦らず少し立ち止まってどんな工夫ができるか考えてみましょう!
執筆者 佐藤 恵一
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種、衛生管理者、心理相談員、(株)ベスリ 産業保健ディレクター
大手IT企業にて産業保健に従事、メンタルヘルスからの職場復帰支援や健康経営に取り組んできた。現在は(株)ベスリにて新しい産業保健の普及支援に取り組んでいる。