コラム

このままでは業務が進まないと思った時に職場で可能な選択肢

いままでできていた業務が進まないと、焦りや不安を感じます。
頑張って残業をして業務を進めようとしても、残業には限度があり解決できないことも発生します。
自分一人で業務を抱え込まないことが大切です。

業務が進まず焦りや不安を感じたときの選択肢

まずは仕事から少し距離を置いて、自分でできる工夫をしてみましょう。
それでも状況が変わらない場合には、相談しやすい人に相談してみましょう

相談することは悪いことではありません。
同僚、先輩、上司、総務や人事、産業医などなど、会社には沢山の人が存在します。
早めに支援を受けて、メンタル不調から抜け出して元の様に活躍できるようになることが大切です。

まずは、自分でできる工夫をしてみる

自分でできる工夫には、以下のようなことがあります。

1)小まめに休憩をとってみる

・外の空気を吸うだけでもストレスは和らぐ。
・軽く身体を動かしてリラクゼーションを図る。

2)考え方を変えてみる(思考の癖を修正する)

・次のような考え方をやめてみる。
 「白黒思考」「過度な一般化」「心の先読み」「双眼鏡のトリック」「レッテル張り」
 「責任の取りすぎ」「完璧主義」「悲観化思考」「感情的思考」「すべき思考」

3)伝え方を変えてみる(アサーティブコミュニケーション)

・状況を具体的・客観的に表現し、自分の気持ちを明確に伝える。
・気持ちを言葉にする。感情的にならず正確に伝える。
・提案する。「私は~したい。して欲しい」という様に、自分を主語にして伝える。
・代案を伝える。選択肢を伝えることで相手を尊重していることが伝わり易くなる。

相談しやすい人に、相談してみる

働く人の約60%が「強い不安、悩み、ストレス」を感じています。
その原因は、「職場の人間関係」「仕事の質」「仕事の量」がトップ3です。

強い不安、悩み、ストレスを感じている人のうち約85%の人が実際に相談しています。
そして、実際に相談した人のうち30%の人が「解消した」60%の人が「解消しないまでも気が楽になった」と回答しています。
この場合の相談は専門家への相談ではなく、家族や友人、上司や同僚に話をするそれだけです。(厚労省、労働安全衛生調査)

人は不安や悩み、ストレスを抱えているときに、それを誰かに話し、抱えていることを外に出すだけで、気持ちの整理ができたり発散できたりします。
相談することの効果はすごく大きいものです。

職場で相談をする際には、以下のような観点を持つと良いです。

1)業務に関して同僚や先輩、上司に相談してみる

・出すべき成果を具体化してもらう。
・仕事のやり方を指導してもらう。
・仕事の締め切りを延期してもらう。
・仕事量を減らしてもらう。

2)総務や人事に相談してみる

・上司に相談できなければ、それ以外の社内的資源に頼ってみることも大切です。

3)産業医や保健師等(産業保健スタッフ)に相談してみる

・産業保健スタッフには健康に関する相談ができることは知っていると思いますが、社内の業務のこともよく知っている産業保健スタッフは相談の専門家として健康以外の相談にも乗ってくれます。相談することで状況改善に役立つ場合も多いです。
・体調が改善しない場合には医療機関を受診しましょう。産業医から紹介されたクリニックを受診すると、主治医の守秘義務の範囲で産業医や会社との連携がとりやすく環境改善に望ましい対応が取れる可能性が高いです。

4)従業員支援プログラム(EAP)(※所属企業が契約している場合)

・一般的には、守秘義務により相談内容は会社には伝わりません。職場の問題を根本から解決することは難しいかもしれません。

執筆者 佐藤 恵一

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種、衛生管理者、心理相談員、(株)ベスリ 産業保健ディレクター
大手IT企業にて産業保健に従事、メンタルヘルスからの職場復帰支援や健康経営に取り組んできた。現在は(株)ベスリにて新しい産業保健の普及支援に取り組んでいる。