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コラム

健康で働くために!プレゼンティーズム、アブセンティーズムの予防と対応

プレゼンティーズムとアブセンティーズムの問題点

プレゼンティーズム、アブセンティーズムとは?

プレゼンティーズムとは、従業員が職場に出勤しているが、何らかの健康問題によって業務のパフォーマンスが落ちている状況のことをいいます。

この何らかの健康問題には、睡眠障害などのメンタルヘルス不調の他、アレルギーや偏頭痛、生活習慣病等が含まれています。

プレゼンティーズムに対して、アブセンティーズムは、「病欠」、つまり従業員が何らかの健康問題のため職場を欠勤している状況のことを指しています。

実は、プレゼンティーズムが、企業の生産性に大きなネガティブなインパクトを与えていることがわかっています。
プレゼンティーズムの方がアブセンティーズムより経済的な損失が大きいのです。
(参考元:厚生労働省保健局 平成29年7月 コラボヘルスガイド

企業の生産性を向上させ、業績を上げるためには労働者も経営者の皆さんも健康が大切だということはよくご存知かと思います。

従業員、管理者、会社での立場に関係なく、プレゼンティーズム、アブセンティーズムは健康で働くうえで知って損のしない知識です。

この記事でプレゼンティーズム、アブセンティーズムについて学び、健康で働き続ける知恵を少しでも身につけてほしいと願っています。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムの悪の連鎖

プレゼンティーズムの方が経済的な損失が大きいからといって、アブセンティーズムも決して無視していいわけではありません。

従業員のアブセンティーズムが続くと、その人の業務を別の従業員がカバーしなければならず、負担が増して新たなプレゼンティーズムを招くことになります。

こうしたプレゼンティーズムとアブセンティーズムの連鎖が起き始めると、従業員の健康はどんどん悪化していき、組織全体のパフォーマンスは落ちていくばかりになります。

アブセンティーズムの前兆には、プレゼンティーズムがよく見られますので、このプレゼンティーズムをいかに予防し対処していくかが、職場の健康と生産性を守るためには重要です。

プレゼンティーズムの予防

プレゼンティーズムの予防の手立てをいくつか紹介します。
プレゼンティーズムを予防するためには、まずは従業員や管理者が健康状態を正しく把握することがなにより重要です。

健康診断

健康診断は、健康状態を把握できる一番代表的な方法です。

従業員の方は必ず健康診断を受けるようにしましょう。

なかには、「めんどくさい」、「検査が怖い」といって健康診断を受けたがらない方がたまにおられます。
避けたい理由は理解できますが、自分自身で健康を管理することは労働者の義務です。

健康診断がきっかけで、病気の早期発見につながり、命が救われた方もいます。

健康診断はプレゼンティーズムの発見だけではなく命を守るためにも大切です。

健康指導の対象になった場合は、すみやかに従い治療に専念しましょう。

経営者や管理者の方も従業員が健康診断をちゃんと受けているか管理し、受けていない人がいたら受診を促しましょう。

ストレスチェック

ストレスチェックもプレゼンティーズムの把握、予防にとってとても重要です。

ストレスチェックでは、年1回、従業員はストレスの状態を尋ねる調査票を配布されるので、それに回答します。

ストレスチェックは、ストレスの要因、身体症状や気分の変化、周囲のサポートの量と質、など尋ねていますので、従業員の心身の状態を網羅的に把握することができます。

ストレスチェックの結果は専任のスタッフが集計、分析します。
その後、従業員はフィードバックを受け取ります。
そのフィードバックでは、自身が高ストレス者に該当するかがわかります。

高ストレス者のうち希望者は医師の面接指導を受けられます。

ストレスチェックを有効活用すると、プレゼンティーズムの早期発見・早期介入にとても役立ちます。

しかし、ストレスチェックが残念なながらうまく機能しないケースもあります。

例えば、高ストレス者として認定されたくないからといって、従業員が虚偽の回答をするケースです。
従業員としては、正しく自分の状態を把握する機会を失うとともに、医師の面接指導を受ける機会も失ってしまいます。
企業や会社としても、ストレスの高い従業員がいるという情報が伝わらず、職場の環境改善への取り組みが遅くなることがあります。

健康で働くための職場環境作りという観点からも、ストレスチェックはできる限り正直に回答することをおすすめします。

日々の状態を記録する

健康診断やストレスチェックは、年に1回にしかその機会が訪れません。

プレゼンティーズムの予防のためには、できれば毎日自分の状態を把握するよう心がけたいものです。

日々の健康状態を記録する習慣をつけておけば、ちょっとした変化にも早く気づくことができ、対処できます。

日々の健康状態を記録する簡単な方法を2つ紹介します。

スマートウォッチ

最近のスマートウォッチは、歩数計だけではなく、睡眠や心拍の様子までわかるのが、当たり前になってきましたね。

日々の健康状態の記録にスマートウォッチはとても便利です。
AIと連携し、データに基づいて、運動や食事のアドバイスしてくれるものもあります。

手帳に記録する

手帳も日々の状態を記録しやすいツールの一つです。
先に紹介したスマートウォッチやスマホのアプリケーションを利用したくない人にも取り入れやすい方法です。

続けられるよう記録する項目は厳選します。

自分自身にとって変化の出やすい項目があれば、それをピックアップしましょう。
例えば睡眠に影響の出やすい人は睡眠時間、食欲に影響の出やすい人は食欲の程度、といったふうに記録する習慣をつけると早く変化に気づけます。

もしプレゼンティーズムに気づいたら

日々の健康に気をつけていても、状況によっては予防が間に合わず、プレゼンティーズムが現れるかもしれません。
仕事のミスが増えてきた、スピードが落ちたなどがあれば、それは立派なプレゼンティーズムです。

あなたがもし従業員で、自覚できたら上司や職場の管理者に相談しましょう。
休養を取ったり、業務を調整してもらったりして、普段のパフォーマンスが出せるレベルになるまで、回復を優先しましょう。

プレゼンティーズムは自分自身ではなかなか気づきにくいものです。

あなたがもし上司や管理者の立場の人で、従業員が普段と比べて仕事のパフォーマンスが落ちてきていると気づいたら、その人に声をかけどんな状況かまずは尋ねてみましょう。

少しでも対話することで、従業員自身も自覚がうながされ、一緒に対策を考えやすくなります。

アブセンティーズムの対応

プレゼンティーズムからの予防が大切だと話してきましたが、アブセンティーズムを100%予防できるとは限りません。
もしアブセンティーズムが起きた場合は、できるだけひどくなる前に手立てをしたいものです。

例えば、月に2日、3日のアブセンティーズムでも放置していると、週に半分は仕事を休むようになり、さらに悪化するとまったく会社に行けなくなるケースもあります。

体調不良の場合、従業員は早めにしっかり休養を取ることはもちろん、管理者に現状を伝えてよく相談します。
仕事についえ相談するときは、休んだ分の仕事を取り戻そうとするのではなく、負荷を減らせないか、無理をしない働き方ができないか考えましょう。

管理者から医療機関の受診をすすめられる場合もあります。
もし、医療機関の受診をすすめられたら、すみやかに応じて、受診結果を管理者に伝えます。

例えば、責任感の強い人や若いときは乗り越えられた経験があって自信の強い人は、「大丈夫です」と医療機関に行かないケースがあります。
本人が自覚している以上に、周囲の人は状態の悪さに気づいています。
「自分が考えている以上に状態は悪いのかもしれない」と思って、受診しましょう。

アブセンティーズムもひどくなってしまうと回復するまでの期間が長くなってしまいます。
従業員も管理者もお互いに協力し合って、できるだけ早い対応を心がけましょう。

まとめ:プレゼンティーズムとアブセンティーズムの予防のためにセルフケアとラインケアの重要性

従業員が自分自身で健康を守るために行うことをセルフケア、経営者や管理者が従業員が健康に働くために職場環境を改善したり配慮することをラインケア、といいます。

ここまでこの記事を読んで頂いた方にはおわかりのとおり、プレゼンティーズム・アブセンティーズムを予防するためには、セルフケア、ラインケア、両方がないとなかなかうまくいきません。

従業員はセルフケアとして制度や仕組みを活用しながら、自分自身で健康状態を把握し、必要に応じて報告や相談を行います。
管理者はラインケアとして、従業員がセルフケアできるよう制度を整えたり、健康診断やストレスチェックの実施を促すなど、する必要があります。

健康で働き続けるにはこのような従業員と管理者のそれぞれの努力と協力が必要です。

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執筆者 星野 文弥

臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。