ベスリのリワークに通っているクルー*全員が「再発防止策」の作成をしています!卒業までリワークの様々な学びを通じて、取り組んでいます。
*注釈:ベスリでは利用者のことをクルー、スタッフのことをキャストと呼んでいます。
再休職しないために!再発防止策を作る理由
一言でいうと、復職後も再発せず働き続ける(再休職しない)ためです。
例えばの話。Aさんは病院やクリニックに通院し、自宅で療養して体調が良くなったので元の職場に戻りました。
Aさんは休職前より体調が良くなっただけで、対策を持ち合わせていません。
以前と同様のミスをしてしまい上司に怒られました。すると胸の動悸が止まらなくなり、仕事に手がつかない。翌日の朝も胸がドキドキし、上司を避けたい気持ちから出社できなくなりました😰
そして、心療内科を受診し、療養をすすめられ、再休職に至りました。
このように、なにも対策を用意していないと、同じような出来事が起きたときに対処できず、その結果、体調不良となり再休職するケースがあります。
つまり、休職に至った経緯を振り返り、休職を繰り返さないための対策が「再発防止策」です🌈
再発防止策を作るプロセス
では、ベスリではどうやって「再発防止策」を作成しているか簡単に紹介します。
休職するまでの経緯を振り返る
休職に至る経緯は人それぞれです。
ストレスに感じる出来事も一人一人違います。
ストレスフルな大きなイベントをきっかけに調子を崩す人もいれば、少しずつストレスが増えてきて積もり積もってどうしようもなくなるという人もいます。
そこで、クルー一人ひとりが休職までの自分の働き方や職場環境を見つめなおします。
どのような出来事があったのか時系列でまとめたり、職場環境や人間関係を描写します。また、出来事に対して、どのような反応をしていたかも記述します。
休職前の状況を明確にしていきます📝
ここでのポイントは出来事は客観的事実として述べ、個人の行動や感情などの反応と切り分けることです✅
こうすることで冷静に一歩引いたところから出来事を眺められるようになります。
問題となった出来事に対して自分がどのように対応していたか見える化し、別のもっと良い対応方法がなかったか模索していくのです。
経緯を分析し「原因分析と対策」を練っていきます。
休職にいたった原因分析と再発しないための対策
経緯からストレスとなった環境の変化、自分を追い詰めることになった考え方や行動の傾向を読み取っていきます👀
例えば、コロナ禍の影響でリモートワークが増えたのをきっかけに調子を崩し始めたという人がいます。
出社していたときは気軽にわからないことがあれば相談できていたのに、リモートワークでは1人で抱え込む時間が長くなったのが原因の1つに挙げられるかもしれません。
別の例として、業務量が増え、仕事が終わらないのが責任に感じ、誰にも相談できず自分を追い詰めてうつ状態になったという人がいます。この場合、業務の振り分けや本人も含めた所属チームのスキル不足が原因だったかもしれません。
原因を検討し絞り込めたら、主な原因への対策を考えていきます!
ベスリのクルーは講義やグループワークで学んだことを自分なりに応用し対策に取り入れています💡
相談できなかったという人はアサーションの講義内容を取り入れてみたり、仕事の割り振りがうまくできなかったという人はリーダーシップの講義を参考にしてみたり。
ただし、講義の内容をトレースするだけでは対策は機能しません。
場面に応じて使いやすいようアレンジを考えます。どこで、どのタイミングで対策を講じると効果的か職場に合わせた戦略を立てるのです。実効性のある対策を目指します🏆
協力しながら作る
再発防止策作成には必ず過去を振り返る作業が伴います。
その中で苦痛に感じた出来事を思い出し、辛くなることもあります。頭を抱えなかなか筆が進まないこともあるでしょう。
そんなとき、ベスリにはサポートし、励ましてくれる仲間がいます!
キャストと相談
ベスリでは主に臨床心理士、公認心理師が個別面談を担当しています❤️🩹
1対1で話をしながら、じっくりと向き合う時間を作れます。
休職に至る中でプライベートな事柄が関係している人もいるでしょう。
秘密の守られる安全な場所を確保して、心理の専門家が対応します。
もちろん再発防止策の助言も行っています。
ほかにもビジネスに詳しい講師、保健師など知識、経験豊富なキャストが相談に応じています。
クルー同士で助け合う
ベスリには当然、リワークに参加している他のクルーがいます。
皆さん、リワークに参加するタイミングもそれぞれですから、参加したばかりのクルーは先に参加しているクルーから色々と教えてもらえるそうです。その延長で、再発防止策についても話をしてくれます。
利用前に説明があったとしても、最初は戸惑うことが多いでしょう。クルー仲間から経験談も聞けると安心できるんだろうなと思います✨
再発防止策は計3回、段階に分けて発表があります。
発表のたびに、クルーからも良い点、工夫したらもっと良くなる点などフィードバックがあります。
発表は緊張するという方が多いのですが、実際にやってみると「発表してよかった」という感想がほとんどです。
このフィードバックが貴重な体験なのでしょう。勇気づけられるし、さらなるブラッシュアップのモチベーションにつながります。
クルー同士お互いに励ましあいながら、作業を進められます!
本人と雇い主、両方が納得できるように
復職前に、対策を準備することで安心して職場に戻れます。
必ずといっていいほど、復職直前や復職してしばらくは、うまく働けるか不安を抱きます。そのときに、リワーク中に作った再発防止策を見返せば、頼りになる支えとなります🌸
企業や会社によっては、産業医や人事に再発防止策資料の提出、あるいは提出がなくても面談の中で対策の説明を求められることがあります。
雇い主も準備が整った状態で戻ってきて、長く働き活躍してほしいと思っています。
あくまでも自分が再休職しないための再発防止策ですが、周囲の人たちの納得も大切です!
まとめ(再発防止策は復職前の大切な準備!)
再発防止策では休職に至った経緯を振り返り、繰り返さないための対策を考えます。
ベスリではこれを大切にしています。様々な講義やグループワークも再発防止のためにあるといって過言ではないでしょう。
再発防止策作成はベスリのリワークプログラムの中心、根幹であり、再休職に至らないための要となっています🔑
執筆者 星野 文弥
臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。