認知行動療法は、現在において適応障害、うつ病、不安症などのメンタル不調に対してカウンセリングなどで利用される代表的な心理療法です。
ベスリのリワークではそのエッセンスを講義で利用者の皆さんにお伝えし、再発予防に役立ててもらっています。
特に「ついネガティブな考えにおちいってしまう・・・」という方にはおすすめの講義です!
認知行動療法の講義は、公認心理師・臨床心理士の資格を持っているスタッフが担当しています。
この記事では、その講義の概要について紹介します。
講義「認知行動療法」の概要
自分で変化できる側面に注目する
認知行動療法では「状況」によって起きる反応を「認知」「行動」「感情」「身体反応」に分類して整理しています。
「状況」とそれへの反応である「認知」「行動」「感情」「身体反応」は相互に影響し合ってします。
さらにおのおの反応、「認知」「行動」「感情」「身体反応」同士でも影響し合っています。
ここで重要なのが、4種類の反応のうち「認知」「行動」は自分で意識的に変化させやすく、「感情」「身体反応」は反対に自分で意識して変化させるのは困難だということです!
認知行動療法では、自分でコントロールしやすい「認知」「行動」に注目して変化を起こすのを狙っています。
「認知」「行動」の変化によって、「感情」「身体反応」の改善を期待しているのです。
そもそも「認知」って?
「認知」って言葉は普段の会話ではなかなか使いませんよね。
しかし、私たち臨床心理士・公認心理師にはなじみ深い言葉で、心理学や脳科学の世界ではたいへんよく出てきます。
心理学では、目や耳など感覚を通し、物事を認識して情報処理するまでのプロセスのことを広くとらえて「認知」と呼ぶことが多いです。
これとは違った意味で使われているのは「認知症」でいう「認知」です。
認知症が意味しているのは空間把握や記憶力などの認知能力のことです。
さて本題の認知行動療法の「認知」は、認知能力のことでもなければ、脳内の情報処理するプロセスを指しているわけでもありません。
「物事の捉え方」の意味で使われています。
ベスリのリワーク内では「認知」という言葉が、講師からも利用者さんもよく聞こえるので、なじみ深いものになってきます。
リワークに通ってくると物事の捉え方って「働いていく、生きていくうえで大切だよね」とだんだんと共有されてきます。
講義ではそのいわゆる「認知(物事の捉え方)」を変えることによる効果について、まず説明しています。
認知を変えるためのテクニック「認知再構成法」
ベスリのリワークの講義では認知行動療法で使われるテクニックの1つ、「認知再構成法」を教えています。
「認知再構成法」はある状況で起こった「認知」に対して、より現実的な「認知」を探る方法です。
認知行動療法はそもそも数多くあるテクニックの中から選び、1人1人に合わせて提供されるので、「認知再構成」にも色々なやり方があります。
ベスリのリワークでは「7コラム法」という方法を講義で紹介しています。
ワークシートを用意しているので、この手順に沿って項目を埋めていくと、視野を広げたバランスの良い別の考え方を見つけられます。
そして別の考え方をしてみて、気分もどのように変化するか観察します。
7コラム法は1回やってみただけでは小さな変化しか感じないかもしれません。
しかし、小さな変化から積み重ねてやってみることでいつの間にかワークシートを使わなくても、頭の中だけで、すぐに別の考え方を見つけられるようになります。
リワークで認知行動療法の経験を積む
講義では認知行動療法のエッセンスを学べますが、十分な実践経験は講義だけでは得られません。
実際に日常生活の中で繰り返し使ってみて少しずつ効果を発揮します。
認知行動療法は取っつきにくいと感じる方もいるかもしれません。
ベスリのリワークでは、常勤の公認心理師・臨床心理士がいるので、講義以外の時間にも個別で認知行動療法の専門的なアドバイスが聞けます!
認知行動療法もダイエットと一緒で1人で取り組むのは大変に感じるかもしれませんが、トレーナーのようにサポートしてくれる人がいると、継続しやすくなります。
認知行動療法は復職後も心の健康に役立つはずです。
リワーク中に練習を積み重ねて、身に着けてほしいと思っています。
執筆者 星野 文弥
臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。