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コラム

うつ病・適応障害による休職から復職するときに、「気まずい」と感じないための準備と心構え

休職から復職 気まずい

私は、公認心理師・臨床心理士の資格を持っており、うつ病・適応障害などのメンタルヘルス不調によって、休職されている方の復職を支援しているリワーク施設で勤務しています。

この記事では、「うつ病・適応障害による休職から復職するときに、『気まずい』と感じないための準備と心構え」について解説しています。

うつ病・適応障害による休職から復職するときに気まづさを感じるのは、なにも特殊なことではなく、休職を経験した人にとってはよくみられることです。
しかし、気まずいと感じていると復職時にコミュニケーションがうまく取れなかったり、復職後すぐでも力が入りすぎ疲弊してしまうといったことに結びついてしまいます。

その結果、また体調をすぐ崩してしまい、最悪の場合、再休職してしまいかねません。

滑り出しのよい復職をするには、気まずいと感じないための準備や心構えが大切です。

うつ病・適応障害による休職から復職するときに気まずいと感じる理由

まずは気まづいと感じる背景や理由をひもとき理解することが大切です。
気まずいと感じる背景には、複雑な感情が隠れています。

背景にある感情に気づき対処することで、落ち着いて行動でき、気まずさが軽減します。

復職時に抱きやすい感情

気まずいと感じる裏側には、様々な感情が隠れていると話しましたが、いったいどのような感情が隠れているのでしょうか。

復職時に抱きやすい感情に、罪悪感と不安があります。

それぞれの感情について、下に詳しく説明しています。

復職時に抱きやすい感情 ①罪悪感

休職前、「担当していた仕事をやり残した」、「同僚らに仲間に迷惑をかけた」など考え、抱いていた罪悪感を復職前後までも持ち続けているケースは珍しくありません。

休職された方の多くは、責任感が強く真面目に仕事に取り組んできた人たちです。
そのような人ほど罪悪感が強くなりやすく、復職時の気まずさを回避するために、まだ体調や復職準備が整う前から焦って復職を急ぐケースもあります。

罪悪感は、復職へ向かうエネルギーになりますが、自分自身が復職できる状態かどうか正確に把握するのを妨げてしまいます。

復職時に抱きやすい感情 ②不安

復職時には、様々な不安を感じることでしょう。
例えば、
・復職しても前と同じように働けないのではないか
・また体調を崩して再休職してしまうのではないか
・周囲から妙に気をつかわれて、はれもの扱いされないか

このような不安が復職時には次々と出てきます。

ただし、不安を押し殺して排除しようとするのではなく、しっかりと向き合い、現実的な対策を考え実行することが大切です。

復職時に出てきた罪悪感や不安の整理の仕方

相談

では、復職時に出てきた罪悪感や不安とどのように向き合えばよいのでしょうか。
冷静に向き合って整理する方法をいくつかまとめてみました。

①紙に書きだす

思いをとにかく書き出してみると、整理が進むかと思います。

まずはとりあえず思いつくことを書き出してみてもいいですし、フォーマットを決めて書きだすのもよいです。
自分のやりやすい書き方から試してみましょう。

フォーマットは色々と考えられますが、私から一つ、紹介します。
例えば、下のような3つの項目にあてはめて書いてみます。

1.状況(どのような出来事があって、罪悪感や不安を抱いているのか。誰に、いつから、何に対してなど具体的に書く)
2.感情(例えば、「罪悪感80%」といったように感情の度合いも書く)
3.思考(頭に浮かんでくる主観的な考えを書く)

このように整理してみると、どういった経緯で罪悪感や不安が湧き出ているのか、わかりやすくなります。       

②誰かに話す

親しい友人や家族など、身近な人に気持ちを話すのも効果的な場合があります。
安心して話せるようであれば、社内の同僚や上司でもよいでしょう。

1人で抱え込まないで、誰かに話してみることで、自分自身のことを客観的にみられるようになります。

③カウンセリングを利用する

身近な人や職場の人にもなかなか話しづらいという方もおられると思います。

また、なにか言われてさらに傷つくのではないかと、別の不安を感じることもあるかもしれません。
そのような方は、専門のカウンセリング機関の利用も検討してみてはいかがでしょうか。

カウンセリングには守秘義務があり、基本的に話をした内容は家族や職場にも漏れることはありません。
カウンセリングの方が安心して話ができそうという方は、検討してみてはいかがでしょうか。

休職から復職までの流れと準備のポイント

ここまでは、罪悪感や不安など、復職時に気まずいと感じる背景となるような感情と向き合い方について説明しました。

しかし、復職時にこのような感情と対応するだけでは不十分で、うまく復職できないケースも多いです。

休職中から復職準備を計画的に取り組むことによって、罪悪感、不安、そして気まずさが軽減され、自信をもって復職にのぞめるようになります。

それでは、どのように復職に向けて準備をすればよいのか、休職から復職までの流れごとに準備するポイントを解説します。

休職から復職までの大まかな流れ

休職から復職までの大まかな流れを、下に図にしました。

休職から復職までの流れ

各段階ごとに復職準備のポイントを説明します。

①休職開始及び休職中のケア段階での準備

休職前の会社とのやり取り

復職時の気まずさは、実は休職開始での対応から影響を受けています。

休職する前に、業務の引継ぎについて、可能な範囲で上司と相談していると、休職中や復職時に「仕事を途中で投げ出してしまった」などと考え、罪悪感に悩まされることが減ります。

また、休職する前に、給与や休職期間などの休職中の処遇、会社との連絡方法、復職の条件など確認していると、安心して療養に入りやすくなります。

休職中の復職準備にはリワークを活用

休職に入ったばかりは、主治医の指示に従って、療養に専念します。

詳しい休職中の過ごし方については、こちらの記事を参考にしてください。
【わかりやすく解説】適応障害で休職したときの過ごし方

生活リズムが整い、体力も回復してきたら復職に向けて準備を始めます。

復職準備にはリワークへの通所も検討するとよいでしょう。

リワークは、福祉施設や医療機関が運営している、メンタル不調で休職している方々が定期的に通所するリハビリ施設です。

復職前に自分自身の傾向を振り返ったり、精神的なケアの方法を学ぶなど、再発予防を含めた復職準備をすすめられます。

リワークに通所することによって、「復職しても前と同じように働けないのではないか」「また体調を崩して再休職してしまうのではないか」といった不安が解消できます。

一緒に復職準備を手伝ってくれる支援者がいるのは、心強いです。
支援者と相談しながら復職準備を進められるのもリワークをおすすめする理由です。

さらにリワークについて、詳しく知りたい方は私たちのホームページもご覧ください。

ベスリのリワーク/うつ病・適応障害からの復職支援

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【電話受付】平日 9:00~17:00

②主治医に復職可能か相談する段階での準備

主治医に復職したいと旨を伝えるときは、できる限り正確に自分自身の状態を伝えましょう。

精神科や心療内科では、状態を把握するために、血液検査や心理検査をとることはありますが、問診が中心です。

「日中、活動できていますか?」「睡眠は取れていますか?」など体調面を尋ねられるかと思いますが、早く復職しないと職場に対して気まずいと思っている人は、要注意です。
つい体調が整っていなくても嘘をついて「大丈夫です」と言ってしまうかもしれません。

復職したいからといって、嘘をついてしまうと誤った情報から主治医が復職可能か判断することになります。

状態だけではなく、焦りや不安があれば相談してみるとよいでしょう。

復職のタイミングについて助言がもらえるかもしれません。
主治医に客観的に判断してもらい、復職可能と言われることで、安心して復職に臨めるのです。

③職場による復職の可否の判断段階での準備

上司・人事担当者や産業医との面談

この段階になると、会社の担当者とやり取りすることが増えます。

上司・人事担当者には復職について必要な手続きや流れについて確認します。
また、復職後の勤務条件や業務内容も確認しましょう。

産業医との面談では、現在の健康状態に加えて、復職後の体調管理について話ましょう。

このように復職前に会社と復職後のことについて、確認や相談することによって、不安が軽くなります。

同じ部署に戻りたくないと思ったら

同じ部署に戻りたくない

復職する際に、人間関係や業務の関係で同じ部署に戻りたくないという方もおられるでしょう。

復職後の勤務条件を確認する際に、異動や配置転換を申し出てみましょう。

しかし、必ずしも要望通り会社が応えてくれるかはわかりません。
社内に別のポストが用意できないなど、会社にも都合があります。

同じ部署に戻りたくないという気持ちがある人は、異動や配置転換が叶わなかったときの対処法も準備しているとよいでしょう。

苦手な人がいたり、苦手な業務がある場合は、ただ異動や配置転換を申し出るだけではなく、面談時に対応方法について相談するなど幅を持って準備します。

それでも同じ部署に戻りたくないと思ったら、転職も考慮します。

ハラスメントや過重労働を強いられる環境もあるかと思います。
ご自身が健康で働ける環境かどうか、冷静に検討することも復職前の大切な準備の一つです。

最後に:うつ病・適応障害による休職から復職するときの心構え

休職から復職するまでに様々な準備をしても、「気まずい」と感じるかもしれません。


最後に、どうしても「気まずい」という気持ちが残ったときの心構えについてお話しします。

私が支援している復職前の方に対しては、「復職1年目は、復職1年目の役割があります」とよく声をかけています。

例えば、復職してすぐの方に対して、職場はどのようなことを期待しているでしょうか?
もちろん、戦力としてばりばり働いてほしいと願って、会社は復職を認めているのですが、1番に期待していることは休まずに長く働き続けることだと思います。

会社は、休職前と同じような働き方をするのではなく、休職前からはちがった工夫をして働いている姿を期待しているはずでしょう。
それは、業務がたてこんだり体調に変化があったらすぐに相談する、効率化をはかるために作業手順を見直すといったことかもしれません。

「休職前と同じなように働かなくていい。変わった姿で働いていいんだ」と心構えを復職時に持ってほしいと思います。


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執筆者 星野 文弥

臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。