復職後の環境はストレスに溢れています。
そんな中で業務負荷にも耐え、反りの合わない同僚たちとも協働して成果を出していくには、ストレス耐性が欠かせません。
ストレスについて知ることで、効率良くストレス耐性を高めていきましょう。
ストレス耐性はどう身につく?
成長していく中で培われる”ストレス耐性”
ストレスは「ストレッサー(刺激や障害)」と「ストレス反応(心身の反応)」に分けられます。
ストレッサーに晒されてもストレス反応の出る人と出ない人がおり、出ない人を一般的に「ストレス耐性が高い」と言います。
このストレス耐性は生まれ持ったものではなく、成長していく中で徐々に培われていくものです。
「馴化(じゅんか)」とは
ストレス耐性を高める生体機構の一つに「馴化(じゅんか)」というものがあります。
例えば取引先など初めて訪れる場所に行ったとき、普段の生活では感じないような臭いがしたとしましょう。
最初はその臭いが気になっていたとしても、目の前のことに気を取られているうちに臭いのことは気にならなくなった。
そんな経験はありませんか?
このとき体に起きている反応が馴化です。
馴化することで、私たちの脳はより必要な情報だけを刺激として受け取ることができますし、もし馴化できなかったとしたら、脳はすぐに容量オーバーになり、集中すべき情報を見落としたり処理しきれなかったりしてしまうでしょう。
馴化の働きを最大限活用するには、刺激に自ら触れるよう環境に変化を与えることが大切です。
自ら刺激に触れ、ストレス耐性を高める
人間は受け身でストレスを与えられたときより、能動的にストレスに取り組んだときの方がより脳が活性化することが分かっています。
自ら変化を起こしたときの方が、変化に振り回されているときより「何が起きるか」「起きたときどう対応しようか」といったことに注意が向き、より多くの情報を得られるのです。
ストレス耐性の高い人というのは、最初から変化に強いわけではなく、むしろ自分から小さな変化を起こし、そこから得られる情報の積み重ねの結果、ストレス耐性が高まっているのです。
皆さんも馴化の働きを最大限活かすよう、普段から生活の中に能動的な変化を取り入れてみてください。
執筆者 関本 文博
臨床心理士、公認心理師
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く社会適応の改善に取り組んでいる。