コラム

復職後も役立つ!うつの再発予防に効く、認知行動療法について

復職直後は休職中と違い、社会の速度に合わせて業務やコミュニケーションを行う必要があります。
たとえ充分に回復していても、ストレス状況になっても踏ん張れるか、気持ちを切り替えて翌日また職場に向かえるかは別問題です。

ちょうど骨折を治した後と同じで、骨がくっついているか(治癒)と重い荷物を持てるか(就労)はイコールではありません。‬
そんなとき再発予防に役立つのが、認知行動療法です。‬
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うつと認知行動療法

うつが再発する原因

うつが繰り返し再発する原因の一つは、ものの見方(認知)が変わっていないことにあります。
例えば、休職前に「私は同期より出来が悪い」と思っていた人は、復職してもその思いをことある毎に思い出し、その度に落ち込んだり仕事の手が止まったりしてしまうことでしょう。

‬そんなことが続けば会社にも行きたくなくなるでしょうし、ひとたび欠勤してしまえばそのことがまた「私は出来が悪い」の認知を強固にし、問題は会社に行くか行かないかという行動の問題へとすり変わっていってしまうでしょう。

現実に即した認知で、気持ちを切り替える

このような人の行動を変えるには、ネガティブな感情を生み出している認知自分で否定できるようになる必要があるのです。‬

認知行動療法によってより現実に即した認知になれば、「休職していない同期と比べることがそもそもナンセンス」「上司でもない私が同期や自分自身の評価を気にしても始まらない」「出来が悪くないという証拠は今この仕事をやり終えることから始まる」と考えられるようになり、自分で自分の気持ちを切り替えられるようになります。‬

執筆者 関本 文博

臨床心理士、公認心理師
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く社会適応の改善に取り組んでいる。