不眠や頭痛などの身体症状が落ち着いてくると、不安などの気持ちの症状が前面に表れてきます。
そのときの気持ちを落ち着かせたり、整理するのにカウンセリングが役に立つ場合があります。
休職中の気分や感情の問題
休職中によく見られるやっかいな気分や感情
臨床現場で最もよく聞かれるのが、焦りです。
「早く復職しないと職場のみんなのお荷物になってしまう」「体は元気なのだからこれ以上休んでいるのはなまけだ」といった考えが頭に浮かび、誰かに意見を求めるわけでもなく一人で復職に向けて動き出そうとしてしまうのです。
焦り以外にも、休職中の職場の様子が気になってしまう不安感、少し活動しただけで疲れてしまうことへの落ち込み、社会から隔絶しているかのような感覚からくる悲哀感など、休職中には様々な気分感情症状が見られます。
気分感情症状の原因と対処法
このような症状は、脳の扁桃体という部位の過活動によって引き起こされています。
このまま復職してしまうと仕事中の些細なストレスにも過剰に反応してしまい、そのことがまたネガティブな感情を引き起こしてうつ症状を再発させてしまいます。
扁桃体の過活動には抗うつ薬を使うことも一つの手ですが、カウンセリングも効果があることが認められています。
カウンセリングの効果
カウンセリングを受けることで自分の問題を整理しながら客観視することができ、冷静な自分の視点から状況に対してどう働きかけたらいいか見えてきます。
また、対話の中で「焦っていた」「不安だった」等の感情を口に出すことで、扁桃体の働きを抑える脳の他の部位が活性化し、自分の扁桃体の過活動を自分で穏やかにすることができるのです。
休職後に症状がやや改善してきた際には、是非カウンセリングで脳機能を安定させていってください。
執筆者 関本 文博
臨床心理士、公認心理師
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く社会適応の改善に取り組んでいる。