コラム

生活リズムが安定した次にすること

生活リズムが整ってきたのを見計らって、生活する上での体力をつけていきます。ですが、ここで言う「体力」とは、スポーツジムなどでつけるような体力ではありません
便宜上、走ったり飛び跳ねたりするような体力を「運動体力」、生活する上での体力を「生活体力」と呼ぶことにしましょう。

生活リズムが安定したら、必要なのは体力づくり!

「運動体力」と「生活体力」の違い

休職しているにもかかわらず体力不足を感じたときに「運動体力」をつけようと活動しても、あまり効果がないことがあります。
それは、運動体力をつける活動が心肺機能や筋繊維を鍛えるものなのに対し、生活体力は気疲れや疲労感、すなわち脳の感じ方を鍛える必要があるからです。

運動体力をつける活動は反復練習を要するものが多いので、むしろ頭を使わない場合が多く、人との関わりもなく黙々とおこなった方が良いことにもなってしまいます。

日常生活の中で「生活体力」をつけいく

生活体力をつけるには、日常生活の中で鍛えるのが一番です。
休職中の方ですと、掃除・洗濯・料理に段階的に取り組むのが良いでしょう。

1)掃除

3つのうち、掃除は時間制限がなく、行う範囲もごく狭いところから始めることができるので、試しに取り組むのに適しています

2)洗濯

次の洗濯は、手をつけてから何時間も経ってしまうと洗濯物がシワになったり乾かない時間帯になったりしてしまうので、掃除よりは負荷が高いです。

3)料理

最後の料理は、始める前に相当な準備が必要ですし、火を用いればグズグズはしていられませんので、脳への負荷は最も高くなります。

これらをいつ、何時間以内に行うかを前日までに決めておくことで、脳機能は鍛えられ、職場復帰の予行練習になります。

丁寧に生活を送る

休職中に仕事と同じくらいの負荷をかけることは難しいので、丁寧に生活を送ることで段階的に生活体力をつけていくことができます

運動体力と生活体力は、いわば短距離走と長距離走のようなもの。
生活体力は生活の中で回復していきますので、運動によって方向性のズレたトレーニングをしすぎないよう注意しながら、生活体力の方を重点的につけていくようにしましょう。

執筆者 関本 文博

臨床心理士、公認心理師
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く社会適応の改善に取り組んでいる。