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コラム

不安症状への対処の仕方

不安と脳の関係

不安感情は、脳の扁桃体が過剰反応することで起こります。
不安になると落ち着きがなくなり、しなければならない作業とは別の作業を始めたり、手をつけたことに集中できずにすぐ放り出したりしてしまうようになります。
勤務中であればパフォーマンスが落ち、そのことが更にやる気を失わせ、よりやるべき作業を先延ばしてしまうことにもなるでしょう。

これは扁桃体の興奮による反応ですので、人間だけでなく、他の生物でも観察される現象です。

不安症状への対処の仕方

扁桃体の反応を抑制する2つの方法

扁桃体の反応を抑制することが実証されている方法はいくつかありますが、ここではその中でも代表的なものを2つご紹介します。

1)マインドフルネス瞑想

マインドフルな状態になることで扁桃体の過活動を抑制し、脳の質量までも大きくすることが確認されています。
瞑想、というと高度な技術を要するように思われがちですが、そんなことはなく、身近にも存在しているありふれた状態です。

最も簡易な方法は、呼吸の観察です。
何かを観察しているときにはマインドフルに近い状態ですので、自然に息を吸い、自然と吐き出しているところを観察していると、扁桃体の活動が抑えられ、不安も穏やかになっていきます。

行うときのポイントは、観察のみに徹することです。
呼吸の速度や胸部の緊張を変えようとせず、速かろうが浅かろうがそのままにして「なるほど。息を吸うと(吐くと)こうなるのか」と受け入れることで、マインドフルな状態に近づいていきます。
呼吸だけでなく、体内や手足などの身体感覚に注意を向ける方法もありますので、やりやすい部位を観察すると良いでしょう。

2)ルーティン

やるべきことに専念できているときには、不安は起こりません。
一方、普段と違った行動をとったり思考が頭に浮かんできたりすると、扁桃体は発火して不安が生じます。

日常生活の中にルーティンを取り入れることで、不必要な行動や思考の入り込む余地が減り、不安が生じるのを防ぐことができます
イチロー選手のようにスポーツ選手が行うイメージの強いルーティンですが、最近ではビジネスパーソンでも取り入れている方が増えてきています。
ある一定の思考と行動を一定の順序とリズムで行うので、今の状態が調子の良かったときと同じなのか異なるのか、異なるのならどう調整していけばいいのか、考える基準にできるからです。

特に不安を感じやすくなっているときには、身の回りに物が散乱し散らかっていることが多いので、デスク上や家の玄関、トイレなどを毎日掃除することをルーティン化することで、不安な思考の入り込む余地を減らすことができます。
視覚情報を減らすことで脳のパフォーマンスが高まり、より不安が軽減され集中力を高めることもできるでしょう。

執筆者 関本 文博

臨床心理士、公認心理師
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く社会適応の改善に取り組んでいる。