ベスリのリワークプログラムの詳しい紹介をします。
今回はマインドフルネスについて次のポイントを押さえて説明します!
マインドフルネスがなにかわからず困っている休職中の「リワ子」の疑問に答える形でプログラムの紹介と解説をしていきます!
マインドフルネスとは
プログラムのページをみたら、「マインドフルネス」ってあったけど、いったい何なの?
マインドフルネス(mindfulness)は1種の心の状態を表す語です。
過去や未来ではなく、「今」「ここ」の瞬間に価値判断せずにただ気づいている状態をマインドフルネスと呼んでいます。
と、言われてもイメージがわかないと思いますので、マインドフルネスではない状態について考えてみましょう。
例えば、リワ子にストレスのかかっていた状況について尋ねてみると、、、
休職前は一度、上司からこっぴどく怒られてから、なんでも不安になっていたわ。ミスしないように先のことばかり心配して。
そうすると今しないといけないことを見失うというか、手につかなくなるの。で、また後悔して、の繰り返しよ。心、ここにあらず、で「もうやばい」って焦ってる感じ。
リワ子がいっている心、ここにあらずがまさにマインドフルネスではない状態です。
リワ子のように終わったことや先のことがずっと気になって、目の前のことに集中できないでいると健康にも悪影響を及ぼします。
過去のことを悔やんだり、先のことを心配ばかりしていたら、心身が病んでいくのは想像できるかと思います。心理学や医学の研究でも、心身の健康にとってよくないということがわかっています。
マインドフルネスを育む、つまり「今」「ここ」の現在に集中できている状態に意識してできるようになるのが健康面でも重要というわけです。
マインドフルネスは、日常生活での集中力が上がる、不安・心配事にとらわれなくなる、その他さまざまな心身の健康を促進することが科学的な研究を通してわかっています。
メンタルヘルスでは、うつ病、不安症、疼痛などあらゆる分野で応用されています。
マインドフルネスはトレーニングを通して向上します。
そのトレーニングをマインドフルネス瞑想と呼んでいます。
マインドフルネス瞑想には、様々な方法があります。
例えば、呼吸瞑想では、吸うとき・吐くとき、に空気が鼻に触れる感覚あるいはお腹が膨らんだりしぼんだりする感覚に集中するポイントを決めて、意識がそれたらそのポイントに意識を戻す練習を繰り返します。
ほかにも、音の瞑想というものがあります。外で鳴っている「音」を集中するポイントとして決めて、呼吸瞑想でやったのと同じように意識がその音からそれたらまた意識を戻すというトレーニング法です。
今、紹介したもの以外にも「書く瞑想」や「歩く瞑想」といったものがあります。
瞑想ときくと座禅を組んでいる光景が目にうかぶ人もいるかと思いますが、マインドフルネス瞑想の場合「マインドフルネスを鍛えるための方法」であればどれだけユニークな方法でもマインドフルネス瞑想と呼ぶことができます。
こうしたトレーニングによってマインドフルネスを身につけていきます。
毎朝行う「マインドフルネス瞑想」
ベスリのリワークでは毎朝9:30から15分間、マインドフルネス瞑想の時間をつくっています。
ベスリでは、呼吸瞑想を中心に、音の瞑想や体の動き・ストレッチを取り入れた瞑想も行っています。
マインドフルネス瞑想をした後は、スッキリした気持ちで朝の作業を迎えられますが期待しているのはもっと長期的な効果です。
マインドフルネスは1回のトレーニングで身につくものではなく、継続して行うことで少しずつ自分のものになっていきます。
そのためベスリのリワークでは毎朝、マインドフルネス瞑想をしています。
利用者の中には、はじめてリワークでマインドフルネス瞑想をしている様子をみて驚く方がいます。
じっと黙って座りながら呼吸や音の観察をし続けているわけですから、はじめての方は「なにやってるんだろう?」と怪しげに感じてもおかしくないでしょう。
ただし、事実のところ宗教的な要素はありませんし、その効果や瞑想をする理由についてスタッフから説明します。
実践していく中で効果を感じて、復職後も日常的に取り入れ健康の維持につなげている方もいます。
なぜリワークでマインドフルネス?
なぜベスリのリワークでは、マインドフルネスを取り入れているの?一見、復職には直接関係がなさそうにも見えるけど。
先に説明したように心身の健康によいからといった理由もあります。しいて言えば、「客観的に自分をふりかえる」ためです。
ベスリでは休職にいたった要因をふりかえって「再発防止策」を作成します。
その際に、色んな感情や思考が出てきます。それらに巻き込まれたままだと、客観的なふりかえりができずに有効な「再発防止策」ができません。集中したいことに集中しているマインドフルネスは、自分の感情や思考に振り回されないことにも役立ちます。
マインドフルネスは冷静になって起きたことを振り返るプロセスを助けてくれます。
講義「マインドフルネス」ではなにを学ぶ?
マインドフルネスの講義もあるのね。毎日マインドフルネス瞑想をしているのに、わざわざあらためて、講義ではどんなことするのかしら?
講義では、実践というよりも座学でマインドフルネスについて脳科学、心理学からの知見を学びます。
脳にどんな影響があるのか、心理的な効果について知識をえられます。
マインドフルネス瞑想は効果を感じるまで一定期間、継続しないといけません。動機づけを高めるためにも理屈から入った方がいい人もいます。
講義「マインドフルネス」では具体的に次のようなことを学びます。
- マインドフルネスがどう脳の活動を切り替えるか。
集中できていない状態から集中モードに切り替わる脳の変化を解説します。 - マインドフルネスの目的と効果
身体、心、仕事のパフォーマンスへの良い効果を紹介!
利用者同士のグループワークで普段のマインドフルネスで気づいていることを共有します。 - マインドフルネスのやり方
姿勢、集中するポイント、考えから呼吸へ意識を戻す方法、などのくわしい説明をします。 - セルフコンパッション
マインドフルネスに自分をみつめることの応用、セルフコンパッション(自分へ思いやりを向ける)のやり方もレクチャーします!
まとめ(リワークとマインドフルネス)
マインドフルネスとは何なのか?なぜリワークでするのか?
以上読んでいただき少しわかって頂けたでしょうか。
マインドフルネスを言葉で説明するのはいつも難しいと感じています。体験的、感覚的な要素がつよく、たとえると、スポーツの動きを動きの見本をみせずに説明しているようなものだからです。
マインドフルネスがストレス、うつ、不安などに効果的なのは確かなので、メンタルヘルスに問題が生じて休職された方にはオススメです。
自宅でもマインドフルネス瞑想は可能です。
しかし、効果があるものには、副作用のリスクがあります。クリニックなどに通院中で治療を受けている方で、個人でやってみたいという方は主治医に相談してください。
最後に、マインドフルネスについての脳科学の話やマインドフルネス瞑想のやり方がストーリー仕立てで書かれている「最高の休息法」とういう本をオススメします。
講義で話すような理論から実践までの内容がわかりやすくまとまっています。
個人で実践を積み重ねるのも大切ですが、マインドフルネス瞑想をした感想を仲間たちと共有することもモチベーションだったりやり方の確認だったり、実践に役立ちます。
リワークでは同じタイミングでマインドフルネス瞑想をした仲間たちと共有できるので、個人ではえられない相乗効果があるかもしれません!
執筆者 星野 文弥
臨床心理士、公認心理師、EMDR Weekend2修了
EAP、ひきこもり支援センター、精神科病院などで臨床経験を積んだのち、ベスリ・リワーク大阪に勤務。臨床経験や心理学の専門知識を最大限にどう還元するかをモットーに、休職者のメンタルヘルス向上に努めている。