「復職前にリワークを利用したら再発防止になるから行ってみたら?」
主治医や産業医に体調が安定したので復職の相談をしたらリワークを進められることがあります。
「リワークっていったい何?」と思って調べてみると、なんとなくやることはわかっても病院やクリニックなどの医療機関、「リワーク」と書いてあるけれどサービス名に「就労移行支援」と書かれた福祉施設が出てきて余計にわからなくなることがあります。
私自身、初めはリワークなのに医療も福祉もあって、違いを理解するのに苦労しました。
この記事では「リワークとは医療なのか福祉なのか?」から「リワークを利用するために障害者手帳を取得しないといけないのか?」など、皆様の疑問を徹底解説します!
復職を目指す中では、たくさんの不安があると思います。
この記事で皆様の不安が少しでも解消し、復職準備に専念できることを願ってやみません。
リワークとは
リワークの語源
リワークとは、return to workの略語で、1997年に秋山剛医師が始めた職場復帰支援です。
日本うつ病リワーク学会では以下のように説明されています。
リワークとは気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムです。復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。
リワークの制度
結論から申し上げますと、リワークは医療でも福祉でも行っています。
ただし、それぞれの制度ごとに名称が異なったり、開始するまでの手続きが違うので不安になることが多いのだと思います。
よくお伺いするのは「福祉サービス」を利用することへの抵抗感です。
福祉サービスを利用するために障がい者手帳が必要なの?利用することで今後何か不都合が発生するかもしれないから、医療の方がいいのではないか?
などなど。
実際に福祉サービスを利用するためにはお住いの行政に利用を申請し認定してもらうことで可能となり、
障害者手帳の有無は直接関係はありませんのでご安心ください。
行きたいリワークが「医療」なのか「福祉」なのかによって、リワークの位置づけや利用開始までの手続き、費用面が違いますので、どんなリワークを受けたいかでの参考にしてください。
福祉と医療のリワーク制度の比較
医療 | 福祉 | |
費用 | 健康保険適応 自己負担3割 自立支援医療制度利用可 | 福祉サービスの為、 前年の世帯年収によって決定 0円~最大37,200円 |
利用の決定 | 医師の判断 | お住いの行政の判断 |
注意点 | 主治医の変更が必要 | 本利用開始までに 1ヶ月程度かかることもある。 体験利用などで利用可 |
リワークは職場復帰支援のプログラムのことを指しますので、サービスの名称は医療も福祉も違う点も混乱をしてしまう原因かなと思いますが、同じ名称の学部でも大学ごとに特色があるように、リワークプログラムを実施する施設によって特色だったり形式が違うのと同じです。
詳しくはそれぞれの段落で説明しますので、リワーク選びの参考にしてください。
医療リワーク
精神科や心療内科といった医療機関が実施するリワークは、病状の安定や回復、再休職の予防といったことを目的とした医療行為の一環として行なわれるリワーク支援です。
医師、看護師、臨床心理士などの他職種の医療専門家のもとで、医学的リハビリテーションを受けられる点が特徴で治療の一環として行われます。
メリットとしては、医療スタッフによる専門的な心理療法や作業訓練が受けられることです。症状の改善や再発の防止、ストレス対処法について医学的・具体的な相談ができます。
健康保険が適用されますので医師の判断で枠が空いていればすぐ利用開始ができることもあります。
その反面いくつか注意しないといけない点があります。
まずは主治医について
治療の一環としてリワークを行うので、基本的には主治医をリワークを実施している医療機関に変更する必要があります。主治医の方を変更したくない場合、受けられる施設が限られてしまう可能性があります。
また、費用は健康保険ですので3割負担となります。
復職後を想定してある程度しっかりと通所することもリワークの意義になりますので、利用頻度によってはしっかりと検討が必要です。
費用については「自立支援医療」制度など医療費の助成を活用することができますので、施設にご相談いただくのがよいかと思います。
福祉リワーク
就労移行支援事業所といった福祉サービスのリワークは、休職中のほか、就職未経験者から就職したい場合や退職後に職場復帰したい場合に利用できるサービスです。
就労移行支援とは、名前の通り元々は「現在仕事に就いていない人の就職サポート」から始まった福祉サービスです。サービス開始から徐々に支援の対象を広げ、2024年4月からは厚生労働省が明確に「休職者への復職支援」もサービスの内容と定めています。
そのため、就労移行支援事業所は同じサービス名でもリワークをメインに行っている事業所と就職支援がメインの事業所があることをまずはご理解ください。
施設によってはうつ病などのメンタルヘルス不調を原因とする診断の方以外に発達障害や身体障害の方など幅広い方を支援しているのも特徴です。
就労をメインにしているかリワークをメインで行っているかによりプログラムの構成も様々です。
どの事業所も説明会や体験利用を随時行っていますので、ご自身の目的にあった事業所を選択していただく必要があります。
費用については、障害福祉サービスの利用者負担額が適応されます。
前年の世帯年収により月額の個人負担額が決まりますので以下の表を目安になさってください。
※1. 収入が概ね300万円以下の世帯、3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合
※2. 収入が概ね600万円以下の世帯
また、施設ごとの一日の利用料は、前年度の6か月定着率によって決定しますので、説明会などでご確認ください。
福祉のリワークを利用いただくときの一番の注意点は、お住いの区域ごとに手続き方法が異なることです。
しかし、どちらの施設でも親切に手続きのお手伝いをしてくれますので、利用したい施設が決まったら悩まずに相談してみてください。
行政リワーク
医療・福祉とは別に、もう一つ行政が行っているリワーク施設もあります。
それが「地域障害者職業センター」です。
公的機関である地域障害者職業センターが実施するリワークは、職リハリワークとも呼ばれ、精神障害のある休職者の職場復帰と復帰後のフォローのためのプログラムを実施します。
特徴としては、休職中の本人と雇用主、主治医の3者の間で職場復帰への意見をすり合わせた上でプランを作成し、トレーニングを実施する点が挙げられます。
障害者職業センターでのリワークのメリットは、専門の職業カウンセラーのサポートが受けられる点や会社との連携の取れたサポートが受けられる点です。また、費用は雇用保険から支払われるため、無料で利用できることもメリットといえます。
注意すべき点は以下の2点です。
各都道府県に基本は1つなので、申し込みをしても参加までに1カ月以上待たなければいけない場合が多いです。申し込みから卒業までの平均的な期間は6か月~程度と言われていますので、計画的な利用が必要です。
また、公務員の方は利用できませんのでご注意ください。
リワークの制度についてのまとめ
リワークは医療でも福祉でも受けれらます。
現在であれば「リワーク 受けたい都市」で検索して出てくる施設から、ご自身の目標にあったリワーク施設を選んでいただくのがよいかと思います。
ただし、それぞれの制度によって利用までの手続きと注意点が異なりますのますのでとご確認ください。
ご不明な点などがありましたが、当ホームページのお申し込みフォームより「その他相談」からお問い合わせ頂くことも可能です。